2015年11月7日土曜日

『クライモリ デッド・リターン』と可楽の句

デクラン・オブライエン『クライモリ デッド・リターン』(2009年)を見る。シリーズ第3弾。2作目の後退からはやや持ち直したが、1作目には届かない。収監された凶悪犯たちが、搬送中に襲われて、といったシチュエーションはよいが、囚人同士で争い合ったり、途中で金が見つかりそれをどう運ぶかといったようなことがすべてなくてもがな、である。何作目になってもある程度の水準を保っている『呪怨』などが例外的なのか。

安藤鶴夫が紹介している七代目可楽の句に
山寺は雀も浴びる甘茶哉
片耳は蟋蟀に貸す枕かな
がある。特に「山寺」の句はいい句だなあ。『鬣』という同人誌で俳句を百句以上はつくったが、ついぞこうした句を得ることはできなかった。そこで一句、
やるせなや甍にかかる雲の裾
お粗末。

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