本木克英『超高速!参勤交代』(2014年)をみる。冒頭の殿様と家来たちや農民たちの会話を聞くだけで、うんざりしてしまうのはもうすでに私のセンスが古いのかもしれない。時代劇を見る楽しみの一つは、現在の我々とはまったく異なる生活様式を感じることにあるのだが、もはやそんなことを気にするものはいないのだろうし、家来が、会社の上司と部下ではあるまいし、主人に向かってあんなにざっかけない言葉をかけるのは、あり得ないはなしだと思うが、サイトなどで評価が高いのを見ると、やはり気にする方がどうかしているのかとも思うが、『るろうに剣心』ほどでたらめだと却って気にならないのだから、もっとも『るろうに剣心』はアクションが中心だし、時代も明治に変わり、大きく価値観が様々なところで変わった時期だから、ルーズでも気にならないのかもしれない。話は、藩の金山を狙う老中が、参勤交代で地元に帰ったばかりの藩に四日で再び江戸にのぼることを命じ、殿様を中心に藩のものが一体となって武士の意地を見せるというものだ。
この話で思い出すのが、相当むかし、ビートたけしが、『ソナチネ』以後くらいのことだろうか、テレビとかラジオで、次回作の企画として、織田信長が本能寺で明智光秀に討たれたという知らせを聞いた、豊臣秀吉のいわゆる「中国大返し」、走りながらそれこそ武器も防具も脱ぎ捨てていく疾走感をさながら映画のように面白く語っていたことを思い出して、あの企画はどうなったのかと、妙な記憶がだ繰り出されて、よほどそちらの方が気が引かれる。
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