レオス・カラックスの『汚れた血』(1986年)を見る。初公開のときには劇場で見た。AIDSを連想させる愛のないセックスによって蔓延するウィルスの支配する近未来が舞台で、その特効薬を盗み出そうという話なのだが、こうした舞台設定は物語の本筋とほとんど関係がない。初めて見たときにも感じたことだが、非常にすぐれた監督であることはわかるが、その恋愛至上主義には鼻白む。エリック・ロメールのように意地の悪い感じが出ているとまた違うのだが、ここまでひたむきだと辟易する。せっかくの設定なのだから、ロメロの『クレージーズ』のようになってくれないと、といってはほとんど言いがかりのようなものだが。
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