2015年11月21日土曜日

『デス・ルーム』と日本発信

『デス・ルーム』(2006年)を見る。数人の男女がある部屋に閉じ込められる、というとすっかり陳腐なものになってしまったシチュエーション・スリラーかと思うが、もっと伝統的な『デカメロン』や百物語の系譜をひいたオムニバス映画である。一応ホラーとエロが共通している。
ケン・ラッセルのものは(『クライム・オブ・パッション』とか好きだったなあ、見返すのがちょっと怖いけど)、豊胸手術を受けた女性の胸が独自の生命をもつ、いわば身体なき器官もの。
ショーン・S・カニンガムのは日本が舞台で、地獄に引き込まれた奥さんを旦那が引き戻しに行く。杉本彩がなぜかちょい役で女性警官として出演している。
モンテ・ヘルマンのは、若いころに親しく映画に共通の夢を持っていた友人が恋人を残して去った真相を知る。
ジョン・ゲイターのは、寄生虫とともに受胎し、一体化して生まれた女性の話。

三人の制作者のうち細谷佳史、吉川優子と二人が日本人で、この監督の顔ぶれはなにか妙に日本発信が納得されるものだ。おそらく、二人とも年代的にも私と近いのではないかと思う。内容は、まあ、飛び抜けて印象に残るようなものはないが、別につまらないわけではない。

0 件のコメント:

コメントを投稿