ブレヒトの『屠殺場の聖なるヨハンナ』を読む。ヨハンナはキリスト教系の組織の一員として、貧しいものや労働者を助けようと活動するが、ダンテの地獄巡りのように、労働者や家畜を飼育するもの、仲買人、企業のボスなどのところなどをまわるが、その善意は疑えないものの、言い換えれば善意しかないので、次々に裏切られ、絶望のうちに命を落す。残った同志たちは、既に資本家と協力する体制ができており、死んだヨハンナを聖人に祭り上げることによって、いわば彼女を骨までしゃぶり尽くす。それが皮肉でも風刺でもないのは、現実の姿を描いているからである。それにしても、いい題名だな、とはかねがね思っていた。
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