北の御門をおしあけの春 芭蕉
鶯笠は北の御門を御所の北門とした。御門という言い方からそう解したのだが、そこまで窮屈に考える必要はない。前句の初狩人を卑しい漁師ではないと見て、早春の早朝に凜々しく出で立つ侍の城門をでるところを付けたものである。この句には狩りのことが触れられていないので、次の句を作る人がこの門を御所の門ととることは自由だが、ここで直接に御所の門と解するには、前句に狩人が歯朶を負うことがあるからには、早春に御旨を受けて狩りに出るような事例がないと、無理に押しつけた解釈となるだろう。早春に命を受けて狩りにでることは思い当たらない。ただし句ぶりは田舎大名の城のこととも思われず、鶯笠の言うようにいかにも御所の門のように見えるので、なんらかの事例があるのかもしれない。しばらく後の考えに譲る。
0 件のコメント:
コメントを投稿