§59.しかし、この種の問題は推測では解決されない。二方向に働く先入観があると言える。単称判断においては、それが
事実であり、その判断は定言的だと言われる。形容される内容に現実の存在を認め、実在に明らかな性質を帰しているがゆえに、それが
唯一の真の判断とはいわないまでも、仮言的判断よりは真であるとされる。これが単称判断の主張であり、この主張がある点において非常にしっかりしたものであることは否定できない。つまり、それはその内容の存在を
主張し、直接に実在を肯定している。しかし、我々が返さねばならない答えとは、そうした主張や肯定にもかかわらず、一般的な考え方から離れて事物の真理をより近くから見ると、その主張や肯定は
間違っており、その発言は誤解に基づいている、ということである。我々は単称判断の主張を試験にかけてみなければならず、思うにそれは致命的なものとなろう。
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