電気石板ノート
2014年10月29日水曜日
幸田露伴『評釈冬の日』しぐれの巻5
馬糞掻あふきに風の打かすみ 荷兮
京今出川御門のあたりで打ち眺める態、と前人が解したのはいい。扇は鉄骨に竹を扇形に編みつけた鋤のようなもの、続に鋤簾というものだろう。(鋤はくわ、鍬はすきであり、俗には逆に用いられる。)前句におしあけの春とあることから、日うららかにして長閑に、土埃たち陽炎が燃えるような景色をあらわしている。門前の掃除と解するのはよくなく、遠望であることが句中に見られる。前句には御門などがあるのに、馬糞掻くなどとつけたのは詩豪というべきだろう。
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