さびしさが芯となりくる福茶かな
懐中で蝿取り紙を解くおんな
受胎師が雛定めする春の夜
哈爾浜を鏡に見やる冷製倶楽部
丁半に負けて鏡に虫がわき
木の洞(うろ)をあふれだしたる固結び
寒天の転生先は舞鶴に
開化時に毒を呑んだるあんこのだんご
砂肝を論語知らずが串にうち
貧すれば鈍する核(さね)を蜜漬けに
赤茄子が闇に紛れる気配がし
燕人(えんびと)が一斗の酒を肴にす
仙骨を一反木綿に按摩させ
アイドルの古式ゆたかなバラバラ死
観音がバランスボールで膝を割り
巫女ですが虫はどうかと打診され
燃えあがる炎の凍る乳房かな
枕添松露でできた皺の数
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