2014年9月15日月曜日

金春坂の道のうねうね

 『鬣』第48号に掲載された。

さびしさが芯となりくる福茶かな

懐中で蝿取り紙を解くおんな

受胎師が雛定めする春の夜

哈爾浜を鏡に見やる冷製倶楽部

丁半に負けて鏡に虫がわき

木の洞(うろ)をあふれだしたる固結び

寒天の転生先は舞鶴に

開化時に毒を呑んだるあんこのだんご

砂肝を論語知らずが串にうち

貧すれば鈍する核(さね)を蜜漬けに

赤茄子が闇に紛れる気配がし

燕人(えんびと)が一斗の酒を肴にす

仙骨を一反木綿に按摩させ

アイドルの古式ゆたかなバラバラ死

観音がバランスボールで膝を割り

巫女ですが虫はどうかと打診され

燃えあがる炎の凍る乳房かな

枕添松露でできた皺の数

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