東京大学での講義を学生が書き留めたものからできている。
目次は次の通り。
編集したジョン・アースキンによる序。
I 克服しがたい困難
II 英国の詩における愛について
III 英国詩の理想的女性
IV 英国詩の最も短い形式についてのノート
V 日本を主題にしたいくつかの外国の詩
VI 英国文学における聖書
VII 「ハヴァマール」
VIII 人間を越えたもの
IX 新たな倫理
X 虫についてのいくつかの詩
XI 虫についてのいくつかのフランスの詩
XII 英国文学におけるフィンランド詩の影響についてのノート
XIII 中世の最も美しいロマンス
XIV 「イオニカ」
XV 古代ギリシャの断片
「ハヴァマール」は『古エッダ』の歌謡。
「イオニカ」はウィリアム・ジョンソン・コーリーが古代ギリシャ詩を模してつくった珍しい詩集。
学生を前にした講義でありながら、虫に関する詩や北欧の詩、決して主流とはいえない傍流の詩人たちを紹介している。
欧米と日本の文学のもっとも大きな相違は、欧米では恋愛がもっとも大きな主題になっているということからこの本ははじまる。『万葉集』以来、日本にも恋愛はいくらでもあると瞬間的に思うものの、確かに、永遠にまで高まる、宗教的なまでに人間性を超越していくような恋愛文学は存在しない。
そう考えると、ともすれば日本では、フロイトやユングにおける女性から、フィルム・ノワールの「運命の女」にいたるまで、概念的に軽く考えすぎているような気もする。
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