2015年1月25日日曜日

ブラッドリー『論理学』112

 §7.あらゆる否定にはそれが根づく土壌があり、その土壌は肯定である。主語の性質xが呈示された観念と両立できないことにある。AがBではない、なぜならAはこうしたものであり、もしBであるなら、Aではなくなってしまうからである。Bを受け入れればその性質が変わってしまう。Bが破壊してしまうこの性質によってAは自らを持しているのであり、呈示を退けるのである。別の言葉で言えば、性質xとBとは矛盾する。そして、Aにこの矛盾をもたらす性質があることをあらかじめ認めていなければ、Bを否定することはできない。

 しかし、否定判断においては、xは明らかにされていない。AのなにがBとの両立を不可能にするのか我々は言わない。尋ねられても、しばしばその隠れた障害を指摘し、見分けることができないこともある。ある場合には、どれだけ努力してもそれが不可能なこともある。Bが受け入れられれば、Aはその性格を失うが、それ以上のことはわからないのである。否定の土壌は言明されていないだけではなく、知られていない。

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