2015年1月22日木曜日

ブラッドリー『論理学』111

 §6.我々が後に(§16)非Bを独立した述語として用いるときにも更なる反対が起るだろう。しかし、ここではもう一つの誤りの基盤となっているものを明らかにせねばならない。否定は「繋辞にだけ影響を及ぼす」と言われる。最初にそれがなにを意味するのか尋ねる必要がある。それが言った通りのことなら、繋辞が欠けていることもあるので、これをすぐに退けることができる。肯定的に「狼だ」と言うときにも繋辞は存在しないし、否定的に「狼じゃない」と言うときにも繋辞はない。しかし、それが意味するのが、否定と肯定とがあるレベルにある判断の二つの種類だというなら、その発言を修正する必要がある。こうした二つの異なった種類の判断が存在することはまったく正しい。肯定判断は主語を性質づけ、否定判断は同じ性質を排することで主語を性質づける。かくして我々は二種類の肯定的関係を得る。しかし、それを同じレベルに置くとき、間違いが生じる。否定の条件として既に総合を仮定していなければならないというのが正しいだけでなく、加えてもう一つの反対意見がある。否定の真理というのは最終的にはある性質の肯定にあると見ることができる。それゆえ、肯定と否定は同じレベルに立つことはできないのである。「AはBではない」における真の事実とはAに属し、Bとは両立できない性質xである。否定の基礎にあるのは、実際には、(x)を排除するある性質の肯定である。それは、既に我々が見たように、単なる排除の性質(非B)の肯定ではない。

0 件のコメント:

コメントを投稿