電気石板ノート
2014年8月4日月曜日
幸田露伴『評釈冬の日』初雪の巻9
床更けて語ればいとこなる男 荷兮
前句の「只なきになく」を人が泣いたものと見なしてこのつけ句になる。遊女と旅人が偶然に会い、国なまりの言葉の端から、問いつ問われつしていとこであることを知り、やむない理由で奥州を出たきさらぎの昔はこれこれといまの身を恥じ、過去をしのんでいる。例の演劇的、小説的な趣向に巧みな荷兮が、鮮やかな手並みで前句を一転した。
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