2015年3月19日木曜日

阿部和重『クエーサーと13番目の柱』


ほとんど傭兵部隊のように特殊技能に優れ、組織化されたパパラッチの集団が、さる富裕な人物に雇われ、Qと呼ばれるアイドルの行動を監視し、可能なら盗撮する。Qはキングに対するクイーンであるとともに、ぎりぎり観測できるほどの遠くを大きな光を放ちながら流れ去っていく星、つまりクエーサーをも意味している。

それゆえ、Qというのは実在する女性よりは大きな象徴的意味をもつ存在であり(冒頭に登場するダイアナ妃のように)、対象となる女性が変わることもある。実際、作中で対象は変わり、ボーカロイドとヒューマノイド・ロボットと三人でユニットを組むミカが標的になる。

ところが、この傭兵集団に加入した新入りは、思考が現実化するという陳腐でもあり、文字通りに信じると恐ろしくもある信念を持った人物であり、ミカでダイアナ妃の自動車事故を再現しようとする。

いかがわしい教えを取り入れるのがあいかわらずうまい。最後の場面はまるで、『ジョジョ』第三部の最終対決のときのようなのだが、気のせいだろうか。

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