2015年3月16日月曜日

菊地成孔セレクション


本来はジャズのディスク・ガイドを頼まれて、できたのが本書で、その結果わたくしのようなものには余計に興味深いものとなっていて、マイルス・ディヴィス論などを読むと、単にジャズも先頭を走り続けてきた人物というだけでなく、同時代のポップスやファッションにも目が行き届いていて実に新鮮なのだが(まだ著中までしか読んでいないが)、この本は同じことをジャズで行おうとした壮大な企ての一環に思えて、もっとも各項目のディスクの選択はその道の専門家に任されていて、菊地成孔はその専門家と対談し、コメントを加えているに過ぎないのだが、使えるものは誰でも使おうというのが菊地成孔のフットワークの軽いところなのだが、全体は六つの部分に分かれていて、1.ビター・ブラック・ミュージック(人種的、社会的な姿勢が強く前面に押しだされていて、アーシーな地域性も高い)、2.スウィート・ブラック・ミュージック(ビターよりも主張が強くなく、その分豪奢な官能性にあふれてもいる)、3,ポップス、4,クラシック現代音楽、5.ラテン、6.ジャズということになるのだが、副題にある「ロックとフォークのない20世紀」という表現を借りれば、わたくしは「ロックとフォークとブラック・ミュージックとポップスとラテンのない20世紀」を生きてきており、ロックはプログレニュー・ウェイブを少し、フォークはボブ・ディランを少し、ブラック・ミュージック、つまりジャズを除いたブルースなどは、アレサ・フランクリンオーティス・レディングを少し、ポップスはマドンナシンディ・ローパーを少し、ラテンはモラエスやレゲエを少しといったありさまなので、クラシック現代音楽ジャズの部分がわかる程度なので、真に啓蒙的なディスク・ガイドではあるのだが、実際にYou TuveなどでみてみるとCDを買うところまでいくかしらん、という程度にとどまっているのが痛し痒し。

0 件のコメント:

コメントを投稿