§76.単称判断の唯一の希望は完全な断念にある。仮言的であっても、抽象的判断は自身よりも真であることを認めねばならない。判断のクラスの最も低い位置で満足しなければならない。その要素で実在を性質づけることをやめ、一般的な形容のつながりを認めることだけに専念し、個別の存在からは離れなければならない。「ここに狼がいる」や「この木は緑だ」で「狼」や「緑の木」が実在する事実であることを意味するのではなく、狼とその状況にある諸要素との、「緑」と「木」との一般的な関係を主張しなければならない。それを個別的な事実に関するいかなる参照もなしに、抽象的な意味において行なわなければならない。その低次の基本的な形においてそれは科学的法則に向かうが、その元々の主張は完全にあきらめ、真理への階段に足をかけるのである。
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