2014年12月2日火曜日

幸田露伴『評釈冬の日』しぐれの巻14

命婦の君より米なんどこす 重五

 前句の雛をつくる女を、人妻などではなく、まだ年のゆかぬ由縁ある姫君にかしずく女とみて、また一転してこの句がある。命婦は内命婦五位以上の女官、外命婦五位以下のことをいうとは『壒嚢抄』の説である。「こす」は贈ってくるである。言葉の意味は明白で、解は必要ない。この句は命婦という名称をだし、いわずの間に人柄、事柄、場所柄を思わせて、狡い技術とはいえ、非常に巧妙である。

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