かぶらずしは金沢の名産で、1センチ間隔くらいにあけた蕪の切れ目に塩ブリをはさみ、麹で漬けたものである。金沢には何回か行ったことがあり、かぶらずしも食べた。
芭蕉七部集の『猿蓑』「灰汁桶」で、野水の「うそつきに自慢いはせて遊ぶらん」に去来が「又も大事の鮓を取出す」とつけている。
中谷宇吉郎はこの鮓がかぶらずしではないかと推測している。
露伴先生の評釈では、鮒の鮓か鰆の鮓となっているが、「又も」と「大事の」が、相当長期間の保存を意味するようにみえる。そうするとかぶらずしの方が、ぴったりする。昔、寺田先生のこの話をしたら、「そうかもしれんな」といっておられた。先生もかぶらずしが好きであった。
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