紙巻きの煙草はまったく吸わなくなったが、パイプは吸う。オブジェとして好ましいし、普段とは違った時間が流れる。葉巻も吸ったことはあるが、どこでやめたらいいのかよくわからないのと、なにより高価だ。
二人とも葉巻を吸うが、しかしドルトが大衆的なイタリアのタバコ「トスカーに」を好むのに対して、バルトのほうは、金さえあればハバナ葉巻のほうを好み、ブレヒトもハバナ葉巻を吸っていたといって自分を正当化していた。バルトは長いあいだ、あのよじれた奇妙な形の葉巻「パンチ・クレブラス」を吸っていたが、ずっとあとになって、七〇年代の半ば頃、はじめてブランドを変え、ラカンが同じ葉巻を吸い始めたので、その真似をしているように見られたくないからだ、と笑いながら説明する。
写真でこの葉巻を見たが、たしかに妙な形にねじれていて、三本にするとちょうどよく組み合わさり、女性のトルソーのようになる。
0 件のコメント:
コメントを投稿