新井白石の『鬼神論』は儒教に則ったもので、すべてを陰陽の気によって説明する。
たとえば、恨みを抱いて殺されたり、自殺した者、気を集中する力が強く、突然死に見舞われた者などは、気が散ずるのに時間がかかり、気の塊が世の中に残っているので、怪異な現象を起こしたり、祟りをなしたりする。
面白いのは、寿命の長い人間でも、動物でも、植物でも時間とともに精気が塵のように積もっていくことで、同じように怪異を引き起こすことだ。生きていることは気を集中させている状態なのだから、このことは納得しやすい。普通の老人は、どれだけ長生きでも、病気などによって気を減じてしまうので、妖怪までには到らないのである。
0 件のコメント:
コメントを投稿