2012年12月9日日曜日

幸田露伴と森鷗外の不仲

『辰野隆随想全集5 忘れ得ぬことども』は、学生時代の思い出やスポーツのことなどが中心の雑文集である。 なかに少しだけ幸田露伴と森鷗外のことが出てくる。両者は文壇にでたての頃は仲が良かったが、はっきりとはわからぬ理由から疎遠になった。辰野隆はその辺の経緯をこう推測している(「一杯きげんの昔話」)。  
 ところが森鷗外の背後には山県がいた、ということは、鷗外先生なかなかそこは如才ないので、山県のキンタマをしっかりつかんでいた。だから山県の景気がいいときと、それほどでないときによって、鷗外さんの地位が変わるんだ。山県に勢力があるときには東京におられる。山県がちょっと退くと小倉に左遷されるというようなことがあったわけだね。

 幸田露伴先生は、とにかく森鷗外先生が小倉くんだりまで行くということは文人の面汚しだと思っている。ここらでそろそろ禄を去って、鷗外ともあろうものは筆一本で立てるじゃないか。わざわざ小倉くんだりまで行きやがって・・・・・・といって軽蔑の念を抱いた。
本当か嘘かわからないが言えないことだ。

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