一月十二日
曇り。
朝早く大磯を発つ。慈福寺に虎子石がある。虎女は娼妓である。西行が歌った鴫立沢をへる。梅沢の藤巻寺を過ぎる。見事な藤が取り巻いている。松の向こうに海が見える。坂匂川を渡る。小田原を過ぎ、秀吉が一夜にして城を建てたところを過ぎ、道が険しくなる。早川橋を過ぎ湯本にいたる。早雲寺がある。畑村に泊まる。
スティーヴン・ポリアコフのPerfect Strangerを見る。イギリスBBCのドラマで、3部に分かれていて、合計約4時間。親戚がすべて集まるパーティーが催される。親戚づきあいのなかった主人公の一家は(夫婦と成人した息子)、特に息子は始めた会ったものばかりである。ところが、思いもかけなかった過去があらわになり、接点がないかに思われたもの同士が結びつく。といって、アメリカのドラマのように、「衝撃の」過去があらわになるわけではない。第二次世界大戦が関わる世代も含まれているが、それに関わる挿話もどちらかといえばファンタスティックなものだ。『国際夜行列車』の方がどちらかといえば好きだが、このドラマも実に良質である。どの事件も誰にでも起きうることで、それをこのようにドラマチックに仕上げるというのは、仕立てのいい服を着るときのように、実に心地がいい。
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