2016年2月23日火曜日

十二月二十三日

十二月二十三日

晴れ。

朝日が雪に燦然と反射する。隅田川に行って雪見をする。寒さが骨にしみ通り、身体には炭の蓄えがない。深川楼に行き、灯で顔が赤く照りかえる。

多くの人は冬を楽しむというが、実際にはそれに耐える感じを楽しんでいるのだ。

BBCのテレビドラマ『国際夜行列車』(1980年)を見る。多くのテレビドラマがそうであるように、監督であるピーター・デュフェルのものというよりは、脚本家のスティーヴン・ポリアコフの作品である。山田太一や向田邦子の名が先に出るようなものだ。
ヨーロッパを横断する列車に一人のイギリス人の男が乗り込む。まだ若い男である。列車内は人影がなく、同じ個室には若いアメリカ人の女性がいて、淡い期待を抱く。しかし、発車の時刻になると室内はいっぱいになる。ことにやっかいなのは頑固であくまでわがままを通そうとする老嬢の存在である。
図式的にいえば、老嬢は古いヨーロッパをあらわし、座席もなく通路をうろうろして騒いでいる不良少年たちがいまのヨーロッパを、中年にさしかかろうとするイギリス人がどちらにも属さず、両者のことを辛うじて理解することができる。

それにしても良質な脚本で、アメリカ女性との断絶も見事だし、イギリス人とウィーンに住む老嬢がある程度互いをわかりあったすえに、老嬢がある提案をするのだが、それに対する応対も安易に落とし込むことなく好感が持てる。

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