四月十七日
晴れ。
大墨亭で幻戯をみる。五色の幕で壇上を張り巡らし、芸人はその上にいる。白い紙を取りもみしだいて息を吹きかけると、数千の細かな紙片となって散乱する。また、紙で卵を作りそれを箱のなかに入れ、扇で打つと鶏が出てくる。また、卓上に升のような物を置き、昔、鎮守の将、源公頼、東北を征伐するとき、日照りが続き、軍中、水が乏しく、兵士たちが非常に苦しんだ。公頼これを憂い、八幡神に祈り、弓で岩を打つと、直ちに水がほとばしった。そんな意味のことを朗々と語り、升を扇子で叩くと、水が吹き上がった。
死んだ勘三郎が勘九郎だったころに上演した野田秀樹版『鼠小僧』を見る。野田秀樹と夢の遊民社は劇団の立ち上げのころから知っており、長い間食わず嫌いで、テレビの中継で一度見てますます嫌いになり、今回見てもやはり嫌いだった。鼠小僧や大岡越前を脱神話化しようとしているのだが、社会的な人物像は実際の人物とは異なるという驚くほど幼稚な話をけたたましく演じているだけのもの。
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