一月二十一日
雨。
雨支度をして浜松を出る。舞坂から舟で浜名湖を渡る。荒井で鰻を食べるが、うまくない。汐見坂を上り、白須賀、二川を過ぎて吉田で宿をとる。
スティーヴン・ポリアコフはFriends and Crocodilesで近い過去を扱っている。80年代、90年代がイギリスもまたバブル期だったことは変わらないようだ。80年代のはじめには、まだ60年代、70年代を引きずったようなヒッピー的な成功者もいた。主人公の男はアイデアはあふれるほどあって、未来を予見する能力もあったが、予見できるような、現在の延長線上にあるような未来にはさして関心を持てず、パーティーばかりの日々を送っていた。
そんな男が女性秘書を雇う。彼女は、賢く、男のアイデアに未来があることを感じたが、それを実行に移すつもりのない彼と別れてしまう。そして彼のアイデアをもとに、大企業の重要なポストにつくようになるが、バブルの崩壊とともにどん底に突き落とされる。一方男性の方は、財産はすべて失い、社会的に見ると零落しているのだが、ある種のコミューンをつくって、特に落胆する様子もなく暮らしている。幾度もけんか別れした二人が、といっても女性の方が我慢ができなくなって縁を切ってしまうのだが。そんな二人がパートナーとして互いを確認するまでのはなしで、『ナターシャの歌に』(wowowで放送されたらしい)はより現代に近く、21世紀になろうとするころで、父と娘の話に変わっているが、ある和解と、それが社会的ステイタスと一致しないことは共通している。
たたShooting the Pastの無数の家族写真のように、本来価値がないものが魔術的な作用をし始める対象がないだけに弱い。
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