映画のネタバレについては最近非常に過敏な状況で、私などはあまりに過敏すぎると思われる。いくら内容について詳しく語られようが、私などさして気にならないのだが、しかし考えてみると、自分の好きな監督や楽しみにしている作品となると、やや話は異なっていて、気になっている作品だから、聞きたくなってしまうもので、おおむね聞いたからといってどうということもないのだが、紹介番組でも宣伝文句にもよく使われる衝撃のラストというのだけは勘弁してもらいたい。衝撃のラスト(あるいは展開)ということが最上のネタバレなのではないか。最近の例でいえばデヴィッド・フィンチャーの『ゴーン・ガール』がいい例で、衝撃的な展開ということがあまりに言われていたので、あまりに期待していたせいか、正直なところどこが衝撃的なのかよくわからなかった。あまりに衝撃が喧伝された結果、衝撃への期待がインフレ状態となり、現実の作品がそれに追いつかなかったのだ。もっとも、映画そのものは期待したとおり面白かった。
アレックス・デ・ラ・イグレシアはスペイン出身の監督で、これまで一本も見たことがなかった。2008年の『オックスフォード連続殺人』は、大学の町オックスフォードを舞台に、ちなみにイギリスのグラナダ・テレビのモース警部シリーズ(コリン・デクスターの原作)もオックスフォードが舞台になっているが、高名な数学者とその学生とが連続殺人の謎を解くという内容としていえば、テレビ・ドラマとさして変わりはないのだが、最初の被害者が発見される場面、教授と自転車に乗った学生とが通りですれ違い、別の道を通って同じ家にたどり着くと、玄関で合流し、家のなかに入って死に顔をさらす老女のクローズ・アップがワン・カットでとらえられて、それは死に顔のアップから後ずさりし、そのまま階段を降りて扉が開き、街の喧騒のなかにある家をとらえるまでを同じくワン・カットでとらえているヒッチコックの『フレンジー』へのオマージュとも思われるのだが、衝撃の展開とは言わないが、ちくりと一刺しされるかのような心地よさを伴っている。
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