ギャング映画のサブジャンルとでもいえるものに、銀行強盗映画がある。やくざ映画のサブジャンルにチンピラ映画があるようなものだが、銀行強盗映画が男女の破滅的な愛に向かっていくのに対し、チンピラ映画は同じく破滅的といっても、ホモ・エロティックな雰囲気が濃厚である。
その点で、やくざ映画のサブジャンルであるとともに、任侠映画の再解釈ともいえるかもしれない。銀行強盗映画は、ギャング映画のサブジャンルであるとともに、恋愛映画の再解釈ともいえるかもしれない。
恋愛映画が苦手な私は、『拳銃魔』などの例外はあるものの、銀行強盗映画も苦手なのだが、アルトマンがべたべたした恋愛を描くはずもないので、『ボウイ&キーチ』(1974年)には特に叙情的な部分はない。原作者がエドワード・ロビンソンで、ニコラス・レイの『夜の人々』と同じ、つまり、リメイクになるわけだが、恥ずかしいことにレイの方は見ていないので、どんな相違があるのかはわからない。しかし、題名だけから判断すると、レイの映画はよりフィルム・ノワール的であるようで、アルトマンの映画ではほとんど常に日の光が差している。
そして、なによりも、これもまた常に背景に流れているラジオが印象深く、ウディ・アレンの『ラジオ・デイズ』のようにノスタルジックでもなく、むしろラジオの音声という地、層が一枚加わった世界像を提示しているかのようだ。
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