電気石板ノート
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2018年8月11日土曜日
鶯も声はるの日の長しゆすにほうほけ経をくり返し鳴く 紀定丸
前書き「鶯」
「声を張る」と「春の日」をかけ、「しゆす」は「修す」で仏道を修め習うことか。
2018年8月10日金曜日
けふはまた引手あまたの姫小松たれとねの日の春ののべ紙 あけら菅江
「姫小松」は、「子の日の松」で子の日の遊びに引く松。「子の日」は寝の日であり、「のべ紙」はちょっと高級な懐紙であるが、野辺にもかかっていて、エロチックな意味合いが見える。
2018年8月9日木曜日
子の日する野辺に小松の大臣は今も賢者のためしにぞ引く 四方赤良
前書き「子日」
正月はじめの子の日には、野に出て小松をや若葉を引いて千代を願う。「小松の大臣」は、平清盛の息子、平重盛のこと。
2018年8月7日火曜日
はげ山もかすみそめぬる春の日にきんかあたまは猶そかゞやく 布留田造
歌合の中に霞
歌合わせで霞が出たが、春の山も覆う霞にも「きんかあたま」=金柑頭、金柑のように赤くはげ上がった頭は輝いている。
2018年8月6日月曜日
さみせんのあいにほういの一声はいづくの誰を呼子とり追 石部金吉
前書き「鳥追」
鳥追いは、田畑を鳥から守る正月の行事として、または門付け芸として芸人によって行われた。
2018年8月5日日曜日
萬歳がうたふことばも真砂にてつきぬや君がとくわかの浦 浦辺干網
前書き「海辺萬歳」
「とくわか」は徳若で「常若」が転化したもの。いつまでも若く、という祝い言葉。めでたさは浜の砂のようにつきない。
2018年8月3日金曜日
萬歳にほめたてられてはづかしき草のいほりの柱数かな もとのもくあみ
前書き「草庵むすぎけるとし萬歳のことぶきけるを聞きて」
萬歳は本来新年の言祝ぎだったが、褒められるほどの広さの草庵でもなくて。
2018年8月1日水曜日
はごの子のひとこにふたこ見わたせばよめ御にいつかならん娘子 四方赤良
前書き「小むすめのはねつくを見て」
はごの子、「ひとこにふたこ」、よめ御、娘子と羽子板の種がとんとん移る言葉とつく羽の面白さをかけたもの。
2018年7月31日火曜日
さかさまにうてばのぼれどすむ空にたまりもあへず落つるこきの子 細井翁
前書き「みづから画ける羽子のこのうへに」
羽子板でうつのはムクロジの核に羽をつけたもので、「きの子」は木の子で、羽はついているが、空にとどまることはできないということか。
2018年7月30日月曜日
春に今朝(けさ)あふぎ〳〵とよびこみて松と竹との枝かはしませ 奧政
前書き「扇売」
新年の松飾りと扇の骨となる竹とが交叉する。
2018年7月29日日曜日
ことしより拍手なほらん天からのめぐみをえたる鍛冶が初夢 隣鶴
前書き「鍛冶初夢」
「なおらん」は正しく改められる、という意味か。あるいは「拍手」は大きく薄い、鍛冶には向かない手で、それがなおったということか。
2018年7月27日金曜日
声々(こえごえ)に御代はめでたの松かざりうたふからろの神送り船 藪中椿
「からろ」は空櫓で、櫓を水のなかに浅く入れてこぐこと。
2018年7月25日水曜日
臣は水君もろともに御座船の湊に風をまつかざりせり 小鍋のみそうづ
「御座船」は貴人の乗る船。「まつ」は松と待つをかけている。
2018年7月23日月曜日
波の上も子(ね)の日の野辺ににたり舟ひかばやともに小松しめなは へつ〃東作
「子の日」は「子の日の松」の略で、新年の子の日に松を引いて遊ぶこと。子の日に舟を引くなら、松としめ縄もいっしょに引くことになる。
2018年7月21日土曜日
風の追手入来る舟をまつかざりうらしろ〴〵と春の曙 川井物梁
前書き「船松飾」
風にのって走る舟の松飾りを、裏から春の曙が白々と浮かび上がらせている、というだけのことか。
2018年7月20日金曜日
海の景よいとや申す春駒の歯にまたたらぬわが芝の浦 浜辺黒人
「此うた延宝三年のいせごよみに見えたり
芝浦早春」まで前書き
「春駒」は若い馬と、年のはじめに馬の頭の作りものをもって、門付けして回った芸人をかけているのか。海の景色がよいと芸人はいうが、馬が食べるほどの草は繁っていない、との意味か。
2018年7月19日木曜日
ひめはじめ暦家の説は何なりとすべて女の所作をいふなり 読人しらず
前書き「ひめはじめ」。
「ひめはじめ」は本来暦の用語で、正月二日の吉凶など日柄をいい、その他、甑(こしき)で蒸した強飯に対して、釜で柔らかく炊いた飯を「ひめいい」というが、その「ひめいい」を年始にはじめて食べる日、乗馬をはじめてする日、女性が洗濯、張り物などをはじめてする日など諸説ある。もっと俗っぽいと、女性をはじめて抱く日なのはご存じの通り。そんなことはすべて関係なく、女性の所作すべてが「ひめはじめ」だということ。
2018年7月18日水曜日
今朝ははやひらく扇の天地金ひかりもきよき年玉の春 臍穴主
前書き「年のはじめに」
「扇の天地金」とは、金の縁取りをした扇のこと。
2018年7月16日月曜日
まづひらくいせの太輔がはつ暦(ごよみ)けふ九重も花のお江戸も から衣橘洲
前書き「年のはじめ百人一首によせて人々歌よみけるなかに」
百人一首の伊勢太輔(たゆう)の歌、
いにしへの 奈良の都の 八重櫻(やへざくら)
けふ九重(ここのへ)に 匂(にほ)ひぬるかな
に基づく。
2018年7月15日日曜日
東風(こち)吹かば今年も首をふる法師はりこのとらの春を迎へて へつ〃東作
前書き「寅のとし春のはじめに」。
東風は春に東方から吹いてくる風。法師は尺八で首を振る。
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